なわとび競技/ジャンプロープってどんな大会?種目やルール、日本代表になる方法をざっくり解説

このページでは、IJRU(International Jump Rope Union)が発行するルールについて、簡単に要約して解説しています。

ルールの改定や変更があった場合は、原本(※英語)が最速で正しいものですので、参考として御覧ください。

2023年7月30日更新

競技種目

競技種目は大きく個人戦と団体戦に分けられます。さらに計測種目、自由演技の2種類に分類されます。

  • スピード:回数を競う
  • フリースタイル:演技の出来栄えや難易度を競う

また各種目は国際ルールで規定の省略文字が使用されますので、種目のあとに()で記載をしておきます。

個人戦

個人戦はシングルロープ(※普通の縄跳び)のみで開催されます。性別と年齢別でカテゴリー分けがされて、各種目上位3人に表彰が行われます。

30秒スピード(SRSS)

30秒の間にかけあしとびが何回できるかを競う種目です。回数は右脚が地面についた回数を数えます。制限時間内であれば失敗をしてもOKですが、計測タイマーは止まりません。

1回のミスが大きく記録に影響するため、いかにミスなく最高速度で跳び切るか?が見どころです。

3分スピード(SRSE)

3分の間にかけあしとびが何回できるかを競う種目です。回数は右脚が地面についた回数を数えます。制限時間内であれば失敗をしてもOKですが、計測タイマーは止まりません。

持久力とペース配分が重要になるため、いかに戦略的にペースを作って記録を積み上げるか?大切な種目です。

フリースタイル(SRIF)

75秒以内で様々な技を組み合わせた演技を行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

技にはすべてレベルが付いており、演技中に行われた技のレベルによって難度点が加算されていきます。さらにパフォーマンス性や音楽との調和、姿勢やミスの有無などを評価され、難度点の合計点から加減点されます。

難しい技だけでなく、いかに観客を楽しませるか?や盛り上げるか?も評価に入るため、派手なアクロバットや宙返りなども頻繁に行われる、競技の花形種目です。

3重跳び(SRTU)

制限時間無制限で、3重跳びが連続で何回とべるか?を競います。失敗した段階で競技が終了となるため、高い緊張感が特徴の種目です。

最初の15回以内で失敗した場合は再競技が1回だけ認められます。また開始の合図から30秒以内に跳び始める必要があります。

個人総合

上記の30秒スピード、3分スピード、フリースタイルx2の順位得点を合計し、合計数の少ない選手が個人総合で上位になります。

なお、個人総合には3重跳びは含まれません。

団体戦

団体戦はシングルロープ、ダブルダッチで実施されます。またシングルロープ、ダブルダッチは同一のチームで競われ、4~8名の選手でチームを構成することが可能です。

性別と年齢別でカテゴリー分けがされて、各種目上位3チームに表彰が行われます。

なお、ホイールとダブルダッチトライアッドは種目別のみになります。

シングルロープ

スピードリレー(SRSR)

30秒の間にかけあしとびが何回できるかを、4人でリレーした合計数で競う種目です。回数は右脚が地面についた回数を数えます。制限時間内であれば失敗をしてもOKですが、計測タイマーは止まりません。

1回のミスが大きく影響するだけでなく、とぶ順番や場所の入れ替えなど、4人ならでわのチームワークも問われます。

二重跳びスピードリレー(SRDR)

30秒の間に二重跳びが何回できるかを、2人でリレーした合計数で競う種目です。二重跳びをした回数のみを数えます。制限時間内であれば失敗をしてもOKですが、計測タイマーは止まりません。

二重跳びのスピードを競うのはこの種目のみのため、二重跳びに特化したトレーニングと戦略が必要になる種目です。

ペアフリースタイル(SRPF)

75秒以内で様々な技を組み合わせた演技を2名でシンクロして行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

技にはすべてレベルが付いており、演技中に行われた技のレベルによって難度点が加算されていきます。さらにパフォーマンス性や音楽との調和、姿勢やミスの有無などを評価され、難度点の合計点から加減点されます。

個人戦と違い、技がシンクロしていないと点数が入りません。また2人でコンビネーションをする技も必須になります。

チームフリースタイル(SRTF)

75秒以内で様々な技を組み合わせた演技を4名でシンクロして行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

技にはすべてレベルが付いており、演技中に行われた技のレベルによって難度点が加算されていきます。さらにパフォーマンス性や音楽との調和、姿勢やミスの有無などを評価され、難度点の合計点から加減点されます。

個人戦と違い、技がシンクロしていないと点数が入りません。4人でシンクロするのは非常に難しく、ミスなく演技を通すのが至難の業と言われる種目です。ダイナミックな動きのシンクロやアクロバットが見どころです。

ホイール(WHPF)

75秒以内で様々な技を組み合わせた演技を、2名で連鎖とびの状態で行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

技にはすべてレベルが付いており、演技中に行われた技のレベルによって難度点が加算されていきます。さらにパフォーマンス性や音楽との調和、姿勢やミスの有無などを評価され、難度点の合計点から加減点されます。

連鎖とびでは1回のミスが致命的になるため、より2名のチームワークと技の精密さが求められます。

ダブルダッチ

スピードリレー(DDSR)

30秒の間にかけあしとびが何回できるかを、4人でリレーした合計数で競う種目です。回数は右脚が地面についた回数を数えます。制限時間内であれば失敗をしてもOKですが、計測タイマーは止まりません。

跳ぶ人と回す人が順番に入れ替わりながらリレーしていきます。シングルロープよりもミスの影響が多いいため、チームでいかに呼吸を合わせるかが見どころになります。

スピードスプリント(DDSS)

60秒の間にかけあしとびが何回できるかを競う種目です。回数は右脚が地面についた回数を数えます。制限時間内であれば失敗をしてもOKですが、計測タイマーは止まりません。

60秒という時間が短いようで長いため、いかに最高速度に近いペースを落とさずにミスなく跳びきるか?が重要になります。

シングルフリースタイル(DDSF)

75秒以内で様々な技を組み合わせた演技を3名で行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

技にはすべてレベルが付いており、演技中に行われた技のレベルによって難度点が加算されていきます。さらにパフォーマンス性や音楽との調和、姿勢やミスの有無などを評価され、難度点の合計点から加減点されます。

ダブルダッチでは回す人の腕の動きと、跳ぶ人のアクロバットが合計されて技レベルになります。どのようにロープを回してアクロバットを通し切るかが重要になります。

ペアフリースタイル(DDPF)

75秒以内で様々な技を組み合わせた演技を4名で行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

技にはすべてレベルが付いており、演技中に行われた技のレベルによって難度点が加算されていきます。さらにパフォーマンス性や音楽との調和、姿勢やミスの有無などを評価され、難度点の合計点から加減点されます。

ダブルダッチの中で2名とも跳んでいないと点数にならないため、跳ぶ人と回す人が複雑に入り乱れて技を繰り広げるダブルダッチ団体戦の花形種目です。

トライアッドフリースタイル(DDTF)

75秒以内で様々な技を組み合わせた演技を5名で行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

技にはすべてレベルが付いており、演技中に行われた技のレベルによって難度点が加算されていきます。さらにパフォーマンス性や音楽との調和、姿勢やミスの有無などを評価され、難度点の合計点から加減点されます。

ダブルダッチの中で跳ぶ人の組み合わせが増えるため、アクロバットのバリエーションが見どころです。

ショーフリースタイル(SCTF)

6分以内で様々な技を組み合わせた演技を8名~20名で行います。技の難易度や演技の出来栄え、パフォーマンス性、ミスの少なさなどを採点して競われます。

演技中にはシングルロープ、ダブルダッチ、ホイール、長縄など多種多様な縄跳びを入れる必要があります。代表として出場できるのは各国1チームだけです。

技の難易度はもちろん、演技中のシンクロや構成の斬新さ、スムーズさ、さらにショーとして観客をいかに楽しませたか?が大きく評価に影響されます。

性別/年齢別カテゴリー

各種目は年齢、性別によってカテゴリー分けがされています。表彰や代表選抜はカテゴリーごとに行われます。

性別

性別については以下のように規定されています。団体戦では性別によるカテゴリーが細かくされています。

個人戦・・・男性、女性

団体戦・・・男性、女性、男女混合、性別不問

男女混合

両性がフロア上で競技に参加している必要があります。たとえばペアフリースタイルの場合、男女が1名ずついる必要があります。

性別不問

男女混合でチームを組むことが可能ですが、両性がフロアに居る必要はありません。

年齢

年齢別に部門が規定されており、World Championshipに出場できるのはジュニア以上になります。またフューチャーという表現は日本国内のみになります。

年齢基準は12月31日時点のため、早生まれの人は学年が同じでもカテゴリーが別になる可能性があります。

フューチャー

年齢が11歳以下の部門です。原則代表権を取ることはできませんが、Asian Championshipは代表権を取れる場合もあります。

小学校1年生~小学校4年生&5年生早生まれ

ジュニア

年齢が12歳以上15歳以下の部門です。Junior World Championshipの代表権ならびにAsian Championshipは代表権を取れます。

小学校5年生&小学校6年生早生まれ~中学校2年生&中学校3年生早生まれ

シニア

年齢が16歳以上の部門です。World Championshipの代表権ならびに、Asian Championshipは代表権を取れます。

中学校3年生&高校1年生早生まれ以上

All Japan(国内予選)

国内のジャンプロープ統括組織である「日本ジャンプロープ連合(JJRU)」が主催する代表選抜の大会です。

個人戦の「Individual」と団体戦の「TEAM」があり、Individualのみ地方予選が実施されています。2023年現在では、関東東北北海道・中部近畿・中国四国九州の3エリアで予選が開催され、予選を突破した選手がAll Japan FINALに駒を進めます。

All Japan FINALで規定の順位以内に入った場合、日本代表として国際大会に出場する権利を獲得することができます。

団体戦のTEAMには予選はなく、上位チームが日本代表として国際大会に出場する権利を得られます。

公式ページ:All Japan※日本ジャンプロープ連合のHP

国際大会(世界大会/アジア大会)

World Championship

2年に一度、奇数年に開催される世界大会です。世界のジャンプロープ統括組織であるIJRUが主催の大会で、世界チャンピオンを決めます。

2023年の大会では全世界から23の国と地域、1200名を超える選手が参加しました。

また世界大会では大きく「Junior World Championship(JWC)」と「World Championship(WC)」が開催され、JWCは国内のジュニア部門、WCは国内のシニア部門の選手が出場できます。

さらにWCでは各種目の上位6人(チーム)が決勝にあたる「FINAL」に進出します。他のJWCやWCの予選とは雰囲気や照明を変えて競技を行い、FINALの結果で最終的な種目別の順位が決まります。

Asian Championship

2年に一度、偶数年に開催されるアジアの地域大会です。アジアのジャンプロープ統括組織であるAJRUが主催の大会で、アジアチャンピオンを決めます。

2022年の大会はコロナ禍の影響でオンラインの大会となりましたが、2024年は日本の川崎で開催が決定しています。

年齢カテゴリーがU-11(フューチャー)、12-15(ジュニア)、16+(シニア)の3つに分かれており、All Japanの全年齢カテゴリーの選手が日本代表になれる大会でもあります。

またアジアは世界大会の強豪国が揃っている地域で、アジア大会は実質の世界大会と言われるぐらい非常にハイレベルな大会です。

International Open Tournament

World Championshipと同時開催される国際大会を指します。通称IOTと省略します。開催地と日程は世界大会と同じですが、あくまで同時開催の国際大会という位置づけのため、優勝しても世界チャンピオンとは表現しません。

当初、World Championshipが開催され始めた頃はJunior World Championshipが存在しませんでした。しかし各国でジュニア選手の育成や競技を行う場が必要だという機運が高まり、世界大会と同時開催で実施されたのがIOTでした。

しばらくIOTはジュニア向けの大会として運営されてきましたが、ある時からJunior World Championshipの導入が決まり、事実上のIOTは役割を終えました。ただせっかくの国際大会で多くの選手に出場の機会をということから、名残として同時開催の国際大会という位置づけで現在まで残っています。

日本代表になるには?

日本代表として国際大会に出場するには、国内予選のAll Japanを勝ち抜く必要があります。

個人戦のIndividualは、世界的にも日本はトップレベルの競技力を誇るため、代表権はおろか予選を突破するのも至難の業です。Individualで日本代表を勝ち取ることができれば、そのまま世界大会での表彰台に乗れるレベルと言っても過言ではありません。

団体戦はAll Japanに参加するチーム数こそ少ないですが、派遣されるチーム数がIndividualよりも絞られるため、熾烈な競争は免れません。とくにジュニア選手の競争は熾烈を極め、国内大会のレベルは年々世界トップレベルから頭一つ抜ける形になっています。